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今のところはここまで

お引っ越しもこの辺で一区切りつけようかと思います。

他にも“呼び掛け物語”はいろいろありますが、おいおい。きりがないからね。そこまで頼まれてないし。


オオシマさんとヒグチさんのチャットから。


#012 pal

高校まで同級で巡り巡って同僚の知り合いだったこと、さらには同じ市に住んでいることが判明した友人、倉永から連絡があった。

倉永にはこんなエピソードがある。
中学時代に嫌な教師がいた。嫌味な奴でみんなそいつにはほとほと嫌気がさしていた。
ある日授業中にクラスの女子が内職をしているところをそいつに見つかった。次の時間までの課題ではずすとちょっと面倒な奴だ。只、注意するならば分かる。その子も反省していたんだから。
ところがそいつはかなり時間のかかるその作業の成果を取り上げて、“お前が悪いんだから、今回は諦めろ”というとんでもない事を言った。女の子たちはもちろん抗議したが取り合わない。とうとう本人は泣きだしてしまった。
その時倉永がそいつを無言で教室の外に連れ出した。
そのまま二人は帰ってこなかった。
三十分後位に廊下で国語の飯塚が怒鳴っている声がしたのでみんなで観に行った。
二人は飯塚に説教されていた。

一体どういうことなのか人づてに聞いたところ、教科準備室までそいつを連れていき倉永が話しをしているところを飯塚に見つかったらしい。飯塚はいい奴だから倉永が正しいとは思っていたそうだが教師という立場上、“教師に説教をするとはどういうことだ”とかたち上説教をしたのだった。喧嘩両成敗。
他にも色々熱い男のエピソードはあるが、どれも“溺れる子犬を助ける”クラスの凄いものだ。そんな現場に立ち会える確立だけで凄い。

そういう奴だからなんとなくわかるが、基本的に携帯は携帯しない。非常に連絡が取りづらい男だ。
そんな倉永からメールが入っていた。
これは大層なことがあったに違いない。
長文が打てないのだろう。“相談があるから駅前のファミレスに来てくれ”としか入っていなかった。件名の覧に。おじいちゃんだな。

土曜の夜だったし、規模が分からないからどの位かかるやら。だからあいつに事情を話して出かけてくる旨を伝えた。ジジイに留守宅を頼み、いぬに何かあったらなんとかして伝えるように言っておいた。出かける前恒例の気休めだ。

車を走らせながら昔のことを思い出していた。
あいつは見た目からして男らしい奴だったが俺は背はあってもなよなよした、どちらかと言えばもやしっ子だったから全く接点がなかった。悪い奴とは思っていなかったけど正直怖かったし。
まともに話したのは高校で、しかもバイト先が同じだったからだ。
きちんと話すようになると本当にいい奴だと思うことが度々あった。些細なことで金の貸し借りはしない主義らしいが、まとまった金が必要な友人の重大事には黙って金を差し出す。倉永が思いを寄せていた女の子が彼氏とケンカして泣いていた時なんて仲裁に入ったそうだ。結局その子は別れたけどつけ込むわけでもない倉永ともどうにもならなくて、その話を聞いていた俺が泣いてしまった。
“しっかりしろ”と倉永からびんたを張られた。

店に入ると窓際の席で独りメロンソーダを飲んでいた。俺とおんなじ甘党なの。
こちらに気づくと片手をあげてくれたが表情がいけない。相当キテいるようだ。
昔からメガネをかけているのが救いだが物凄く目つきが鋭い。そこが男らしい魅力にも感じるから若干勿体ない感じもするがメガネをかけている状態でこれだから、裸眼だったらわをかけて地元のヤンキーに言いがかりをつけられていたことだろう。
目力こそあるがやつれている感じがする。いったい何があったらこんな顔になるんだよ。
軽く近況などを話し合ったがそもそもなぜ相談相手に俺を選んだのだろうか。こいつには助けられたことはあっても逆はとんと思い出せない。タメではあるが兄貴と弟分のような関係性だった。

“どうしたの”と訊くとなぜか恋人の有無を訊かれた。
はて。

ややあって
“彼女が出てった”と眉間にしわを寄せてつぶやかれた。

おい。お前幾つだよ。
こいつのことだから、やばい事に巻き込まれたとか、金が要るとか、追われてるとか、余命がとか。そんな、そんな、そんな、

“そんなことかよーー”

と言ってしまった。思わず。
“そんなことじゃねえよ”と凄まれた。本当に凄かったから座りなおしてきちんと聞くことにした。

ほんとに偉大な漢としてのイメージが強いだけにばかばかしい話だ。
まあ、今まで殆どそういうのない男だったから余程大事なんだろうなあ。
倉永曰く、
ある日突然彼女がキレて、“いてもいなくても同じなんでしょ!”という捨てゼリフを残し飛び出していってしまったらしい。
何が何だか分からずに呆然としていたらかなり距離をあけられてしまい、連絡には応じてくれない模様。この男のことだから想像がつくが彼女の行きそうなところも見当がつかないからどうしてよいやらわからない。で、なんで俺に相談なのか。嫌じゃないよ。頼りにしてくれたのはうれしいんだけど。
“お前、そういうの得意だろ”
と言われた。誤解だ。また誤解されていたようだ。

こんな外見だけどタラシじゃないし、チャラくもない。恋の上級者だなんてとんでもないかいかぶりだ。遊んでないし。
恋愛経験なんて他の人と大差ないし、よっぽど貧弱だと思う。長続きしないんだから。持って1年といったところ。
ん。待てよ。あいつに逢ったのは1年前か。もっと経ってるか。ん。
とにかくその誤解を否定したが何とも言えない顔をされた。
まあそんな場合じゃないやね。

第一に、どんな人間だってきっかけなく怒りだすことはまずもってない。
よって“突然”では無い筈。単に気付かなかったんだろうな。
そして彼女の捨てゼリフ。
これはもうどう考えたって、“ちっとも構ってくれやしない。私のことなんか好きでも何でもないんでしょう。もう嫌。”だろうなあ。
問題なのは彼女が行きそうなところの見当がつかないということ。
ここまで興味薄だと寂しいだろうなあ。だからね、
“彼女のこと好きなんだったらもっと構ってやればいいのに”と言うと、
“そんなこと考えてるとは思って無いし、割と一緒にいた”

ってね。お前のそれは本当にただそこにいただけだろ。
“まあそれはどうなのか自信ないけど、そんな大層なことするほど時間取れないだろ”
ってね。大層なことする必要はないよ。もっと興味を持てばいいんだよ。
時間は工夫してやりくりしろ。物理的には無理でも、携帯とか使って体感時間を長くすればいいんだから。
なんだかえらい彼女寄りになってるけど、俺自身ほっとかれて辛い人だから。
集中して何かやってるとどんなに話しかけても気付いてくれやしないんだから。あれは寂しいね。同意を求めた時に返事が返ってこない瞬間。
誕生日なんかもそうだよ。祝ってはくれるけど俺が言ったあとだもの。しかも同じ日に誕生日だからプレゼント渡しても期待したリアクションとってくれないんだよ。自分の誕生日ごと忘れてるんだから。
とくとくと語って飲み物を注文すると、
“なんてマメな奴なんだ”と感心された。お前がずぼらなんだよ。普通だよ。

とにかくみていてかわいそうだしこいつを助けてやることなんてこんな機会しかできそうにないから、彼女に連絡をとることにした。
ところがこいつの携帯からでは出てくれないことがすぐに分かった。じゃあ俺のから、と思ったらアドレス帳以外は着拒にしている模様。これはまずい。
なんせ彼氏にはほとんど情報がないんだから。
しかたないから部屋に連れて行ってもらった。よくぞまあ一緒に暮らすまでになったものだ。人のこと言えないけど。

部屋が片付いていたり、バニラのアロマキャンドルが置いてあったりするのがなんか切ないなと思った。
彼女が使っているノートPCを貸して貰う。うまい事にパスワードはなかったし、既にログインされている状態だった。
ホントはやっちゃだめだけどメールをあけさせてもらう。
そこからSNSにとんで、よく連絡を取り合うおそらくバイト先の友人と思われる人と連絡がとれそうなことがわかった。
どこにいったか。ヒントでも何でもいいから知ってますように。
最悪その人に連絡とってもらうか。もうダメもとでGPS検索使うか。協力してくれるかしらこんな怪しい話。

ところが一発目からビンゴだった。
最初にアクセスした人がすぐ折り返してくれて、そこに本人がいた。相手の人ももてあましているらしく“早く迎えに来てやってくれ”と言われた。
“場所はどこなんですか”と訊くと、電話の相手が変わり、
“いつもポストカードとかおろしてる店だよ”と
あいつに言われた。

なんで居るの。

“だってここ売れないころからお世話になってる雑貨屋さんだもん”
違う違う。なんでそんなにタイミングが良いの。俺より早いって。それ。
“バイトの子が突然来て号泣してて取り付く島もない、いつものやってくれと”
なんだよ。いつものって。え。いつもやってるの。恒例かよ。怖えな。
ていうかその店駅前じゃん。ちくしょう、無駄足だよ。もっと早く教えろよ。
“だってその倉永さんの友達なんて犬飼くらいしか聞いてないもん”
犬飼は俺だよ。てめえ、この。

と。倉永が携帯をひったくって“すぐ行きます”と言うとさっさと出てってしまった。
部屋の鍵をどうしたものかと思ったが、とにかく付いていかなくては。
ここまで彼の車で来てるから置いてかれたら大変だ。あいつに事情を問いただしたいし。


現場に着くと泣いてはいたが彼女はうれしそうだった。こういうケースは抱きしめてやるとかで良いと思うのに。
倉永は黙って彼女に向って土下座した。美しい土下座。
あまりに凄かったので誰もなんにもできなかった。美しい土下座キープ。

彼女が抱きしめてあげたのでようやく動いた。
でもけっこう時間経ってたよ。十五分か。なんか意外にどえ、
ん。
ふと疑問に思ったことを訊こうとしたら
“帰るぞ、犬飼”と引きずり出されそうになった。
えーでも、あの彼女さんって。
“空気を読むんだ、犬”
今度こそ引きずり出されてしまった。犬ってお前。家のペットと一緒じゃん。

その家のペットは店の前で待機していた。

戻ってなんか言ってから帰るのも無粋だと思ったからそのまま徒歩でファミレスまで。
置き去りにしていた車まではホントに大したことがない距離しか離れていない。全くの無駄足だ。
歩きながら、あの子の年齢を訊いた。十八だと。
おいおい。まじかよ。ギリギリ、アウトかセーフか、条例に引っ掛かるやつか。
“互いに理解し合ってるんだから成人の不倫よりずっと健全でしょ”
そうだな。ん。また推理テレパス使ったな。

そうだよ。ていうかさ。いつものってなんなの。
と訊いたら教えてくれたがなんだか薄気味悪かった。
相手に同調するところからスタートして、だんだんと深層心理に近い上位自我を刺激する問いかけをひたすら繰り返して落ち着かせるのだ、そうです。なにがなにやら。
ていうか怖いよ。ようは催眠じゃん。
“そうだよ”
悪びれもせずしれっと言いやがってこのやろう。
“催眠かもしれないけれど洗脳ではないもの、ちゃんと相手の精神の尊厳は大切にしてるよ”
あ、そう。

でもお前はいいよな。そうやって何でもわかるんだもん。こっちも伝えるような努力してるけどさ。
お前はそういう努力しないしさ。俺にはそんな怖い能力ないし。
なんか全然俺より俺のこと知ってそう。俺はお前わかんないのに。
ところが、


“そんなことないよ、全然わかんないよ”と返された。


え。

それって拙いんじゃないの。

だめなのかな。
物凄く不安になってきてしまった。

不安のあまり帰ってきてからジジイに挨拶するのを忘れそうになった。
あいつも何か察してくれたのかバウムクーヘンとかお茶とか持ってきて、久しぶりにけっこうな時間まともな会話をした。したと思う。
途中から記憶があいまいなんだよな。眠くて眠くて。失礼して先に寝かせてもらった。




朝起きたらリカちゃん人形とリビング・デッド・ドールが腕の中にいた。

日曜の朝なのに最悪の目覚めだった。心臓止まるかと思った。リビング・・・。
朝から大爆笑か。そいつはよかったな。まったく。
洗脳したんでしょ。軽く。

fin.


こんなものでしょうか。ふう。

少し休憩したら、仕事に戻ります。連絡はシノダにお願いします。

よくよく読むとこの引きは難しいかも。

ツヅク

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プロフィール

JuhlaSisko シノダ

Author:JuhlaSisko シノダ
シノダ レイコ

1987年 5月生まれ。
JuhlaSisko、制作担当。
三度の飯と同じくらい編み物が大好き。生まれも育ちも茨城。


ミコシバ デミコ

1987年 10月生まれ。
JuhlaSisko、設計担当。
口も悪いが手も早い。生まれも育ちも茨城。


【活動歴】
2009年   創作人形ユニット「雑用姉妹」結成。

2010年5月 デザインフェスタに初参加。

2014年   創作人形ユニットから創作編みぐるみユニットに。
      このころから作品の販売を開始する。

2015年末  本格的に作品の販売活動を始める。

minne

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