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それは助走ですか?


トクザワさんが続きを送ってよこしました。
第14話。
どう立て直すのか。

-------------

#014 love
殴ってくれ。

と言ったら普通にビンタとかだと思った。まじで息が止まるかと思った。
お前って本当は強いんじゃないのか。

まあ。そんなことより。
今回は本当に自分で自分が嫌になった。
あんなに訳の分からないことに栄ちゃんとあいつを巻きこんでおいて、
なおかつ結論を下したというのに、
未だにどうしてあんな行動をとったのかわからない。参った。

あいつには「後で話すから」と言ってしまった。
でも、約束したから考えなきゃとかじゃない。それってなんか違うでしょ。

俺なりになんでこいつといるのを選んだのかきちんと考えたい。
確かに気持ちは揺れたよ。普通に可愛いこだったしさ。
ぶっちゃけこのままこいつと離れて栄ちゃんのとこに行けば。

俺の理想の恋人関係っていうのが。
とか思っちゃったんだ。
あいつには嘘が通用しないからきっとこのことも知ってる。

だけど俺はこいつを選んだ。
理由こそわからないけど本当のことだから。これが本当に本当のこと、
言ってて意味が分からなくなってきたけど、そういうことも多分わかっててくれてると思う。


あいつは常々「人を愛するとはどういうことなのか」俺に訊いてきていた。
その度俺は、後で後でと言ってきた。

ひょっとしてっていうかひょっとしなくてもさ。
今がそのことについて一番考えるべきなんだよな。

この間コンビニ強盗未遂をして、あいつがかくまってやって、手術を受けて、今は経過が良好な、
西崎さんから電話があった。
事実なんだけど凄い説明だよな。

お礼の電話だったんだけどあいつは丁度家にいなかったから俺が出た。
お礼もされたけどめちゃくちゃ怒られた。出たのが俺だとわかるなり怒鳴られた。
まあ今回の件は俺が馬鹿でどうしようもないからのことだから、きちんと先に言ったような、
決意とかそういうのを述べたうえで謝った。

怒っていたのは別の件だった。
「どうしてお前の恋人が女だってことを言わなかったんだ。」

あいつは普通にしているとまず男に間違えられる。普通だったら俺が怒っていいくらいの話だけど、
これもこっちのミスだ。親父さんに「立派な息子さんですね」とやってしまったらしい。
そして勘違いで説明してしまったこの間の件についてもきっちり怒られた。

普段の俺だったら凹んで終わりだけど。それもどうかと思うけど。

今は「愛する」の定義を宇宙人にも理解させられるような説明を考えなくてはならない。
とにかくいろんな人の意見を訊いてみたい。とは言っても、
あまりに近い友人とか同僚とかだと「おかしくなった」と思われてしまう。それは嫌。
生活に支障が出るもの。
人生経験豊富そうだし、西崎さんぐらいがちょうどいい。

ところが、
「そんなの知るわけねえだろ。」
とあっさり言われてしまった。そして、
「お前のそれって恋愛よりも肉親に対する愛情に近いんじゃねえの。」
とも言われた。そうなのか。

「だってさ。男と女の間で完全に解り合うのなんか、無理だろ。
しかも姉ちゃんは、そういうのがわかんないんだろ。それもなんかよくわからねえけど。
お前が教えたいのって、“無償の愛”ってやつなんじゃないの。」
全然筋が通ってない話にも関わらず、ストンと納得できた。

「無償の愛」。
っていったら「親と子の間にあるもの」なのかな。やっぱり。

あいつは帰宅するなり睡眠時間に入ってしまったから、
夕方夜起きてきたところを見計らって質問した。

「お前ってさ。なんか小さいころ親困らしたようなエピソードってある?」

なんでもいいんだ。どんなことでも。
それでも親って助けてくれるだろ。

「今も十分困らせてるよ。」
「でもさ、“将来の親孝行”なんて正直ほとんど守られない約束とかあてにするわけでもなく、親って
どんな時も子どもを一番に考えるでしょ。それってお前の考えてる“愛する”に近いんじゃないかな。
“無償の愛”とかに。」

そうだよ。あの5歳くらいの訳わかんない時期とかもさ。こらえてさ。
夜中に熱出したりとかしたら慌てて連れてってくれるんだ。そういうのが。

「それは違うんじゃない。」

なんで。

「親にとって子どもっていうのは自分のゲノムを後世に伝えていくための大事な器でしょ。
そりゃ当然大事にするけど。“無償”とは言わないよね。」

ええええ。そんなドライな考え方なの。合理的だけど。寂しくないの?

「だからあたしには理解できないんだよね。
子孫を残すための伴侶として恋人を大切にするという感覚はなんとなくわかる。
でもね。蜘蛛やカマキリなんかは交尾が終わればオスはメスの栄養として食べられる。
それは“無償”ではない。
けれど、人間は一度に複数を愛したり、生涯同じ相手と添い遂げたりする。
そこにはなにかあるのかな。それが“無償”なのかな。」

そっか。お前はそんな生物レヴェルで考えていたのか。
それは。なんていうか。哲学とか越えて脳科学とかになっちゃうんじゃないかな。
でも。

このことをこいつに教えてあげられるような奴は、教えてあげるような奴は、
多分俺しかいない。
親父さんだってもちろん考えてくれるさ。
でも、こいつが知りたいのは「全くの赤の他人」がどうしてそういう感情を抱いて、
寄り添うようになるのか。なんでしょ。
じゃあもう俺しかいないじゃん。

トイレでそこまで考えて、すぐ外へ出てしばらくぼんやりとしてしまった。
ぼんやりしていたら玄関のジジイと目があった。
この間落ち込んで帰った時に、よく覚えていないけれどジジイとケンカしてしまったらしい。
でも、なんともない。
我ながら現金だけどもうこうなったら怖くもなんともない。

「何みてんだよ。」と言うと、

「今のお前の感情が“無償の愛”に一番近いんじゃないか?」

ジジイの声がはっきり聞こえた。
読唇術使って無いよ。なんで。なんで聞こえるの。


わあわあ騒ぎながらリビングまで行ってあいつに助けを求めた。

「気がついたらそういうのの声が聞こえなくなってたんだよね。
あんたにうつったんだね。」と言われた。まじかよ。


なんだかジジイが大事なことを言っていたような気がするけどそれどころじゃない。
急いでいぬを抱きしめて怖さを紛らわせた。

なんで俺こんなお化け屋敷で暮らしてるんだろ。
こいつと暮らすためか。
なんでこいつと暮らすようになったんだっけ。
こいつのことが好きになっちゃったからか。
なんでだっけ。
ん。

ああ、そうだ。
「愛」について考えなくちゃいけないんだった。
fin.


なんか最終回みたいだなあ。どう繋げんのよ。 シノダ

ツヅク

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プロフィール

JuhlaSisko シノダ

Author:JuhlaSisko シノダ
シノダ レイコ

1987年 5月生まれ。
JuhlaSisko、制作担当。
三度の飯と同じくらい編み物が大好き。生まれも育ちも茨城。


ミコシバ デミコ

1987年 10月生まれ。
JuhlaSisko、設計担当。
口も悪いが手も早い。生まれも育ちも茨城。


【活動歴】
2009年   創作人形ユニット「雑用姉妹」結成。

2010年5月 デザインフェスタに初参加。

2014年   創作人形ユニットから創作編みぐるみユニットに。
      このころから作品の販売を開始する。

2015年末  本格的に作品の販売活動を始める。

minne

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