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スタートはヒグチさんから


というわけで、“投稿サイトか何かに出しておけ”と言われていたので「小説家になろう」さんをお借りして出していました。

が、ちょっと使い勝手が肌に合わない、と姉妹二人の間で決まったのでこちらにお引っ越し。

まとめておいた方が何事も便利ですね。


ポエムから派生した二人の話はヒグチさんからスタート。後々はこの二人を提案等に利用しようという考えだったようです。モデルの二人は基本的に面白ければ何でもいい人なので快諾。



#001 sparerib


家に帰ると真っ暗だった。これはいつものことだ。あいつは光が苦手だ。
何せ日中だって雨戸をあけようとしない。太陽光が嫌いだという。
あいつは吸血鬼なのか。そうなのか。肉を食べないのはそのせいか。
最近ではもう慣れたが、初めのころは見る度に死にそうな気持になった。
暗闇の中でたった一つ40Wのデスクライトを頼りに仕事をしている姿。
まじ生きた心地しないよ。止めてよね。色白いんだから。髪黒いんだから。黒い服しか着ないんだから。

電気を付けて、テーブルの上を何気なく見て今度こそ心臓が止まりそうになった。
大皿の上に大量の骨付き肉。
えええ。なにそれ。確かに言ったよ。
「スペアリブ凄い食べたいんだけど、手間かかるし短時間じゃ食べた気しない量しか作れないんだよな。」
まじかよ。お前まじかよ。ホームパーティかよ。
横に書置きが置いてあった。

シゴト オツカレサマデス。タベタガッテイタ ニクデスヨ。
レンジデ チンシテカラ オモウゾンブン タベナサイ。
マエニ イッテオイタトオリ 10ジニハ カエレルト オモイマス。
メールシマスノデ ムカエヲ ヨロシク オネガイシマス。

なんでだよ。お前なんでだよ。なんで全文カナで書いたんだ。
電報かよ。そしてなんで赤いマッキーで書いたんだ。
まるで赤紙。赤紙なのかよ。俺は召集されたのか。
ネクタイを緩めながら気持ちを落ち着かせた。そうだよな。駅に召集したんだな。

食べきれなかったがとりあえず食べるだけ食べた。だいぶ落ち着いた。
着替えて風呂に入ることにした。けれど気合を入れなければならない。
留守番は苦手なんだよ。一人暮らしはしていたけれども誰かいるのに慣れちゃったし、こんなに怖いオブジェだらけの家じゃなかったから。

はっきり言って俺はビビリだ。
そろそろと動いて電気を付けて移動する。
なんとか風呂場までたどり着いた。けれど気合を入れなおさなければならない。
なぜならば脱衣所と別れていない直通の我が家のトイレには俺が買ってやった人形がある。
俺の買ってやった「リビング・デッド・ドール」。しかも俺と同じ名前。
奴とは早めに目を合わせておくに限る。

怖い。何度見ても怖い。
白眼を剥いていて、顔面は蒼白。髪は両サイドに二つかみしかない。抜け落ちたかのように。
いや、抜かれたかのように。体系や服装から明らかに乳幼児。しかし表情は怨念の塊。
なんなんだよ。あの眉間の皺。かわいくねえよ。普通に怖えよ。
俺と同じ名前の意味が分からない。だって髪をリボンでゆってるもん。女なんだろ。見えないけど。

もちろん抗議はした。あいつはにっこり笑って、
「だってファーストドールだし。あんたから始めてもらったプレゼントだもの。」
珍しくかわいらしい理由だったからしぶしぶ許した。
だけど一つ訂正。にっこりではなくニヤリ。
どうしてなんだ。笑う時左端の口元しか引き上げないのは。普通に笑えよ。
爆笑の時よりは怖くないけど。

それはコントDVDを視ていた時。
そのコントには二人ともツボにはまって大爆笑していた。もう酸欠になりそうなくらい。
横でもそんな感じの声がしてたから、
「んな奴いたらほんと迷惑だよな・・・」
と言いながら視たら、
真顔だった。だけど音声は大爆笑。

えええええ。もうすでに息が吸い辛かったから死ぬかと思った。
リアルに気管支がヒュっとすぼまる感じが経験できた。あれは苦しかった。喘息の人って大変なんだな。
表情と合わせろよ。普段から無表情だけど。凄いポーカーフェイスだけど。

ああこんなもの買ってやるんじゃなかった。喜んでほしい気持ちはあるけれど。
目を合わすまでが怖いけど、そらす時はもっと怖い。
だって黒目がないんだもの。どこ見ているの。やめてね。動いたりしないでね。

入浴中もびくびくしっ放しだよ。なんかあいつと暮らすようになれば耐性がつくかと思ったらひどくなる一方だぞ。
だって髪を洗っている時、ダルマサンガコロンダ、と心の中でも思ってはいけない。
とか言われたら。絶対思っちゃうじゃん。
しかも普通こういう系の話したら、それは××が起こるから。とか言うじゃん。

教えてくれよ。なにが起こるんだ。言ったら面白くないからって。別に楽しみにしてねえよ。
おかげ様で入浴の度に心の中で野口雨情を歌っているんだぞ、俺は。25なのに。

恐怖の入浴を終えてリビングに戻るとケータイのLEDが点滅していた。
迎えに行く前には必ず冷蔵庫の中をチェックする。ハーゲンダッツのバニラの在庫はまだあった。
よかった。買いに行くのは少しめんどくさい。

玄関を出る前に傘立ての脇にたたずんでいるジジイに会釈する。
実は俺は霊感がある。体調によってまちまちだが姿が見える。それだけ。
案の定この家はいたよ。礼儀正しくすることで何とかなると信じていたかったら会釈はするようにしていた。
意外なことにあいつには見えないようだ。だから教えていない。なんか言われたら嫌だから。
それにしても。毎回会釈してるんだからそっちも何かしろよな、ジジイ。怖くない範囲で。

駅までいくと駅前の交番の隣の植え込みのふち。いつもの場所にあいつはいた。
どうして明るいところで待っていてくれないんだ。
俺があんまり暗いところは危ないからと注意する前までは、確かに家側からは近かったがより暗い駐輪場の片隅で待っていた。
交番に近いところなら安全だろうとは考えたが。怖いよ。お前怖いよ。まじ怖い。
せめて交番の明かりが届くところにいてくれよ。わざわざ影を探すなよ。誰と影おにをやっているんだ。

「おかえり。」
タダイマ。

ヘーイ。声出していこうぜ。こんな暗がりでそんなうつろな表情で。やめてよ。怖いんだってば。
遠出をするといつもこうだ。体力がなさすぎるよ。肉を食え。食べきれなかったスペアリブを食え。
車の中でも喋らないのはいつものこと。疲れきっている時はどうしようもないんだ。
だから自己流で読唇術を若干マスターできたんだ。なに言ってるのか気になるから。
人間って凄い。やる気になれば出来るものだな。可能性って無限大だよね。努力って大切。
なんだけど俺側からの努力の割合多すぎないか。
運転しながら読唇術って、わき見運転だよ。目を開けたまま寝るな。

家に着いたらあいつに気づかれない様にジジイに挨拶をして、さっさとハーゲンダッツを食わせる。
いくら体力を消耗しようと食べたくないときは食べない。それがこいつのスタイル。
だからバニラアイス。
これだけはハーゲンダッツ限定でいついかなる時も食べてくれる。
エネルギーを充てんするとようやく喋れるようになる。お前はアンドロイドなのかい。サイボーグなのかい。
女の子って、て言うか人間って好物を食べてる時は幸せそうに見える。
と思っていたけれど例外があるんだな。

一点を集中して見つめながら黙々と食べる。その空間には何かいるのかい。俺にはみえないぞ。よっぽど凄いってことなのか。
それにしても、よく女のお化けの話で典型的な黒髪ロングのストレートじゃなくてよかった。ベリーショートでよかった。
でも両耳にピアス付け過ぎ。なんか晩年のシド・ヴィシャスっぽい。これはこれで怖い。せめてナンシーになってよ。

「ごちそうさま。」
「おつかれさま。事務所の人はなんていってたの。日程のとこだけ読み取れなかった。」
「個展は来年の頭に。とりあえず予定だけでも決めときましょうだって。」

それから無言でしかも凄い三白眼でじっとこちらを見つめてきた。なんなんだ。表情がないから予測できない。
「玄関に何かいるよね。」
ええええ。気づいてたのかよ。なんで言わなかったんだよ。かかわっちゃまずかったのかよ。

「あんたって、見える人なの。」
「見える人だね。」
「どんな人なの。」
一瞬意味が分からなかった。かまを掛けられたのかと思った。なんでそこだと分かったんだ。
「お前は見えない人なの。」
「見えない人だよ。て言うか普通見えないよ。」
そうだね。その通りだよ。しかし次の瞬間衝撃の事実とともに謎が解明された。
「声しか聞こえないんだよね。あたし。」

表情からは読み取れないが雰囲気的にめちゃくちゃ楽しそうな感じだったので、ジジイのことを説明した。
推測される死因まで訊かれた。外傷はないから病死だろ。ていうか興味を持つとこ違うだろ。
そして、
「ジジイなんて言ってたんだよ。」
「うん。あんたのこと、いい奴だから大事にしろってさ。」

なんだ。ジジイいい奴じゃん。
fin.


だそうです。ツヅク


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プロフィール

JuhlaSisko シノダ

Author:JuhlaSisko シノダ
シノダ レイコ

1987年 5月生まれ。
JuhlaSisko、制作担当。
三度の飯と同じくらい編み物が大好き。生まれも育ちも茨城。


ミコシバ デミコ

1987年 10月生まれ。
JuhlaSisko、設計担当。
口も悪いが手も早い。生まれも育ちも茨城。


【活動歴】
2009年   創作人形ユニット「雑用姉妹」結成。

2010年5月 デザインフェスタに初参加。

2014年   創作人形ユニットから創作編みぐるみユニットに。
      このころから作品の販売を開始する。

2015年末  本格的に作品の販売活動を始める。

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