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トクザワさん、キラーパス

5回目はトクザワさんが書いてくれました。

彼の女性に対する主張が込められていますね。


#005 dog
本日ここにやってきたのは犬を買うためです。
あいつが希望している小さい犬を買うため、俺が俺の怖い思いを訳合う仲間が欲しいがためにです。

だけど、なんなのだろうか。この可愛さ。もうどれを選べばいいんだってかんじだ。
改めて思うけど、犬って本当に可愛いよね。なんかもう視線がイノセント。オネスティ。
「はなさかじいさん」のシロとか「忠犬ハチ公」とか、大体犬って主人に凄い忠実。だから「はなさかじいさん」を読んだときは子供心に、なんでそんなに大事な犬をあきらかに悪い奴に預けるんだ、と思ったさ。まあハチ公の方は、駅で主人を待ち続けていたのはたんに焼き芋おごってもらえたから、説が有力らしいけど。
でもそれだけ実直に生きてるってことだよな。
だから「ぼくを、わたしを、かってちょうだい」オーラに完全に当てられてしまって、当初の目的を忘れてしまいそう。

うわー。子犬だよ。犬ってだけでも可愛いのに。子犬だぜ。ちっちゃいんだぜ。
「これどう。これ。」可愛くないか。
と、いうつもりで聞いてるのに返事が
「目は確かにいい。可愛い。しっかりしてそう。だけど、長生きしなさそうなんだよね。」
ええええ。凄い現実的。少年の夢ぶち壊し。ていうか年下だったよね。なんでそんなに老成してるの。
「ていうか。一緒に怖がる仲間が欲しいんだろ。だったらもっと強そうな奴選ばなきゃ。」
そりゃそうなんだけど、さ。あれれ。

うわー。子猫だ―。猫も可愛いよな。
確かに凄い気まぐれ。だけどその分なついてくれた時の感動感が増すような気がするんだよね。あいつの例えみたいでちょっと怖いけど、ポーの「黒猫」ではちゃんと主人の敵とってるしね。
うわー。インコだ。オカメインコ。
詳しく知らないからよく海賊船の船長の肩にとまってるやつぐらいしかイメージできない。けどやりたい。あれやってみたいよね。肩にとまらせて何か喋らせるの。自分への賛辞とかだったら最高だよね。ナルシストっていうわけじゃないよ。
と、楽しくなっていたらあいつがいなくなっていた。はぐれた。

店内が狭くてよかったよ。すぐ見つかるから。ヴィジュアル系の男にしては背が低めの男、のように見える黒づくめの女。
目立つことこの上なし。広くなければただちに見つかる。こういうケースの時は凄く助かる。
だけどこの外見の所為で俺たちはしばしばありがたくない間違え方をされる。

元来背が高めなのにベリーショートで服装が完全に男、化粧もしない。まず男に見えるよな。
そのせいで奴はしばしば逆ナンをされていた。最近はガールズラブとか言うのが浸透しているらしく正体を知ってて声をかけてくる奴もいたそうだ。輪をかけて面倒くさいのが、同性愛者よりの嗜好なんだけれど、やっぱり異性しか愛せない男から。考えただけで面倒くさい。
こっちはこっちで元々ハーフに間違われるところになぜか、いやそのせいなのかは知らないけれど、性に対してオープンな印象を与えるらしく、ホモにモテる。全然嬉しくないよ。海外のホモの方、英語で口説かれても全然理解できないよ。ていうか怖いよ。ノーマルだから。

と、いう組み合わせなのでこれはどう見ても同性愛者に間違われるよ。と、友人に指摘された。
その友人の彼女さんがいわゆる腐女子だったから、「うわー、ホンモノだ。」とかいわれた。違えよ。
あいつは悪い奴だから「そうだよ。」とか誤解を生むようなことを言っていた。ほんとやめてよね。
誤解を解くのにどれだけ時間かかったと思っているんだよ。このやろう。こっちは会社の歯車なんだぞ、このやろう。

それにしても、なにに興味を持ったんだろうか。確かに犬だから可愛いところはあるし、強そうだけど、ドーベルマンとかだったらどうしようか。室内で飼えるのか。けっこうしそうだし。金持ちの家のものっていう印象だよな。

全くの杞憂だった。
犬を見にきたんだよ。それはイグアナだよ。たしか恒温動物ではないやつだよ。
そばに行っても気がつきゃしねえ。もう虜だよ。完全に。
どうしようか。まあ蜘蛛とかにくらべたらまだ触れるけど目が怖いよな。だいたいこいつの食い物なんだよ。虫じゃねえか。百歩譲って提供できてもこの目で食事するところは見たくないよ。こいつ自体が怖いんじゃ、怖さ共有できないし。無意味。ペットは愛玩動物だろう。愛玩出来ねえよ。メンチきんなよな。

恐る恐る、
「飼いたいの、それ。」と訊いてみたら、意外にも、
「いや、あんたが怖がる奴じゃ意味ないでしょ。可愛いんだけどさ。」
と、ちゃんと本来の目的を忘れていなかった。でもそれは可愛くない。

きちんと犬のコーナーに戻ったけれど、結局ふりだしに戻る。だってみんな可愛いんだもの。
だけど心を鬼にして、ミニチュアダックスとトイプードルに絞り込んだ。
しかしここからが本当の戦い。どうしようか。どちらにしようか。候補に残ったのはどっちもオスなんだよな。
まあ強くなくちゃ意味ないんだけど、ダックスの方はいかにも守ってくれそうな頼もしさを感じる。小さいけど凄い包容力ありそう。でもトイプーはなんか精神的に分かりあえそうな親しみを感じる。怖さを分かち合う友が必要なんだからこの場合こっちなのか、でも俺以上に怖がりだったら役に立たないし。2匹面倒見るのは正直言って自信がないし。
すると、横で店員とやり取りしていたあいつが
「じゃあ、こっちのトイプードルにします。」

えええええ。相談とかしようよ。
一緒にいる時間が長いのはお前の方だけど最初に提案したのは俺だろ。ていうかさっきのイグアナの前でのやり取りは俺の意見を尊重してくれるという意味じゃなかったのかよ。お前女の子なんだろ。少し優柔不断になってみようよ。長い買い物とかしようよ。


まあ、でもいいや。多分俺に任せてたら1カ月待っても結果出なかったね。正解だよ。
どっちにしろ可愛いからね。早く独りで怖がる日々は卒業したいからね。
結局ノリノリで、あいつの提案してくるなんだか妙にパンキッシュな鋲のいっぱい付いた首輪などを却下しながらさしあたり必要な物を選んだ。

でだ。帰ってきてゲージの中で環境の急変に少しおどおどしている犬の前で、だ。
「名前、どうしようか。」
「強そうなのがいいよね。」
いいよ。お前にはネーミングセンスがないのは凄く分かり切ってるから。だってお前の親からしてちょっとおかしいもん。お前、女の子でしょ。

孔明って。
なんなのその威圧感溢れる名前。俺は馬謖になって切られなくちゃいけない運命なのか。泣いてもくれなさそうだし。
初めはお前の友人たちがこぞって「こうめ」「こうめ」って呼んでたから、てっきり外見に反して大和撫子的な「小梅」っていう名前なんだと思ったさ。そしたら「孔明」だったんだよね。だから親父も凄え名前なんだと思うじゃん。
太郎って。
絶対親父のコンプレックスの所為だよ。だからって娘につけんなよな。おかげでこんなに怖い奴になっちゃったじゃねえか。女だぜ。周りも止めろよな。
俺は自分の、清次郎っていう名前気に入ってたよ。もう過去系だけどな。
だって自己紹介したときに
「いいですね。しかも字も同じじゃないですか、島田清次郎と。」
って言われたんだよ。こいつに。

島田清次郎。代表作「地上」。
島清。それは不遇な人。性格が災いして才能を生かせずにベストセラーを出すも、文壇から孤立&追放。
ああ、そうだよ。お前と同じ統合失調症になってしまって、最後は結核で独りさみしく31の若さで死んじゃうの。俺、あの時24だぜ。なんか、あと7年の命だよ、って言われた気しかしねえよ。島田清次郎。
なんだよ。初対面の時から不愉快イリュージョニストじゃねえか。俺はいったい何をしているんだよ、清次郎。
よく考えたらてめえだって孔明じゃねえか。やな死に方じゃねえか。ああでもたしか享年54歳。不愉快、不愉快。
そんな不愉快軍師の提案する名前は「きょーちゃん」だった。
ああ、なんの「きょー」なのか知りたいような、知りたくないような。

「『狂犬』の『狂』だよ。」
案の定だよ。狂犬はお前だよ。怖いよその発想。
「なんなの。こんな可愛いトイプードルに。」
「じゃあ、何か提案してよ。」
そうなんだよな。いざ、振られると決められないんだよ。だって名前って重要じゃん。俺みたいな被害者出したくないじゃん。

あいつの提案。
「あ、じゃあ何か好きな本とかから貰うのはいいんじゃないの。」
「珍しくまともな提案だな。そういうのだよ。」
「珍しくは一言多いから。」

俺の提案。
「じゃあウリーとかはどう。」
「それは何からなの。」
「飛ぶ教室。」

「見た目には合ってるけど。響き的に弱そうだよ。カンパネルラとかにしようよ。」
「それはもしかして銀河鉄道の夜からなの。」
「そうだよ。宮澤賢治好きだったよね。あたしはあんまりピンとこないけど。」

「こなさ過ぎだよ。なにお前。なんでかわいそうな名前つけんの。この犬に恨みでもあるわけ。」
たしかにいい奴だけどさ。俺の名前と、かわいそう度を同じにしてどうするんだよ。
結局寝る直前まで話し合いは続行された。
そしていきなりだけど、ごめんね愛犬。

翌朝ゲージの前にて尊大な態度であいつが
「お前の名前は『いぬ』だ。」
と宣告していた。期待していたんだったらごめんね、いぬ。結局お互いの意見と関係性の均衡をはかったらこうなったんだよ。悪く思うなよ、いぬ。

やっぱり犬って忠誠心強いんだな。真剣にあいつの話を聞いてるもん。
そしてもう確実に、いぬの中での我が家の序列はあいつより俺が下だな。

いぬのご飯を用意していたら、あいつが
「向こうでお前の食事を用意している男が清次郎だ。」
と、教えていた。俺、最下層になりそうだよ。
fin.


だそうです。

もう少し女らしくしてほしいようですがたぶん無理だと思います。

別に「らしさ」なんて関係ないですよねー。

ちなみにミコシバとトクザワさんは義兄妹。

ツヅク

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プロフィール

JuhlaSisko シノダ

Author:JuhlaSisko シノダ
シノダ レイコ

1987年 5月生まれ。
JuhlaSisko、制作担当。
三度の飯と同じくらい編み物が大好き。生まれも育ちも茨城。


ミコシバ デミコ

1987年 10月生まれ。
JuhlaSisko、設計担当。
口も悪いが手も早い。生まれも育ちも茨城。


【活動歴】
2009年   創作人形ユニット「雑用姉妹」結成。

2010年5月 デザインフェスタに初参加。

2014年   創作人形ユニットから創作編みぐるみユニットに。
      このころから作品の販売を開始する。

2015年末  本格的に作品の販売活動を始める。

minne

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